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F-104シリーズ戦闘機は
世界で初めてマッハ2の壁を破った
迎撃戦闘機として知られています。
原型のF-104は1954年2月に初飛行するや、
「人間の乗ったミサイル」の異名をとり、
1958年5月には2,259km/hの世界最高速を記録し、
当時世界で最も速い戦闘機として注目を集めました。
しかし実用化の遅れとF-106、F-101に主役の座を奪われた
F-104はアメリカ空軍からの発注を大幅にキャンセルされてしまいました。
主力戦闘機としては少量の生産で終わろうとしていたF-104を
当時主力戦闘機が老朽化し始めたNATO諸国に売り込もうと
特に大量発注が期待できる西ドイツを目標としました。
当時主力戦闘機としてF-84を使用していた西ドイツ空軍は
このF-104に着目し1959年2月に導入を決定しました。
国名Germanyの頭文字を使用したF-104Gが誕生しました。
F-104Gの最大の任務は当時の東ヨーロッパに対する戦術核攻撃でした。
このためF-104Gは超低空を高速で核爆弾を携行し飛行可能なように
機体構造が大幅に強化されました。
この他火器管制装置をAN/ASG-14TIからナサール(NASARR)F-15Aに換装、
リットン社製の慣性航法装置の装備、
他に兵装コンピュータ、オートパイロットの装備が行われました。
またエンジンはJ79-GE-11Aを搭載しました。
F-104Gはヨーロッパの特に冬期気象条件を考慮して
インテーク前縁にスプレイマット電熱防氷装置が
組み込まれているのも大きな特徴です。
射出座席は当初アメリカ空軍と同タイプのC-2でしたが
後に西ドイツと同機を採用したデンマーク、イタリアなどは
マーチンベーカーCQ-7に換装されました。
西ドイツが採用配備したF-104Gは後に
他のヨーロッパNATO諸国のオランダ、ベルギー、イタリア、
デンマーク、ノルウェー、ギリシャ、スペインで採用され、
西ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリアではライセンス生産も行われました。
TF-104Gは、F-104Gを複座化した機体で
パイロットの訓練、低空飛行の慣熟に使用されました。
機体は、電子機器と燃料タンクを移設して教官席を新設していますが、
機体全長は単座型と同じなためバルカン砲と
オートパイロットシステムは撤去されました。
NASARRレーダーシステムは残されたため練習機のみでなく
実戦にも使用できる機体でした。
TF-104Gは合計208機生産されました。
<データ>
乗員:2名
全長:16.69m(除ピトー管)
全高:4.11m
全幅:6.68m(翼端燃料タンク無しの場合)
翼面積:18.22m
自重:8,387kg
全備重量:13,054kg
エンジン:J79-GE-11A
推力:4,549kg(アフターバーナー使用時7,170kg)
最大速度:マッハ2.2(高度11,000m
着陸速度:278km/h
最大上昇率:海面基準で15,200m/min
実用上昇限度:18,300m
航続距離:2,220km
固定武装:無し