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五式戦闘機は、ハ104液冷エンジンの生産遅延による首なし飛燕の増加に対処して、
急きょ空冷星形エンジンハ112に換装したタイプです。
本来液冷エンジン搭載機として設計された機体に
胴体幅より大きな星形エンジンを搭載するため、
土井武夫氏以下の川崎設計陣は懸命の努力を重ね、
極めて短時間のうちにこの改造をなしとげました。
この結果は、前面面積が増したため最大速度が飛燕より若干低下したものの、
冷却系統の撤去などによる上昇性能が向上し、
さらには全体のバランスが極めて良くなったため
格闘性能や離着陸特性が格段に向上して、
F-6FヘルキャットやP-51Dムスタングに対しても互角以上の空戦を挑める様になりました。
昭和20年2月に初飛行に成功した五式戦は
本土防空戦のホープとして、ただちに量産の努力が傾けられ、
第244戦隊、第5戦隊、第59戦隊、などに重点的に配備されて
本土防空戦に活躍しましたが、
空襲による工場の被爆などで約390機が生産されたにとどまり
大きな戦力にならずに敗戦を迎えました。
《データ》
乗員:1名
全幅:12.0m
全長:8.92m
全高:3.72m
エンジン:三菱ハ-112
離昇出力:1,500HP
最大速度:580km/h 高度6,000m
武装:20mm機関砲×2、12.7mm機関砲×2
初飛行:昭和20年2月