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凄まじいサイレンの音を発しながら、垂直に急降下し目標に爆弾を投下、
後は地上軍が進撃を行い、またたくまに敵陣地を突破してしまう。
これが、第2次世界大戦初期のドイツ軍得意の電撃作戦でした。
ユンカースJu87はアメリカ海軍航空隊が確立した、
急降下爆撃法を取り入れ、本格的な急降下爆撃機として開発され、
1935年、Ju87の原型機が完成し、1936年、アラドAr81、ブローム・ウント・フォスHa137、
ハインケルHe118の競争相手と共に比較審査を受けました。
その結果Ju87とHe118が最終審査に残りましたが、
垂直に近い降下をし、楽々引き起こしをこなしたJu87に対して、
He118は、最高速は70km/hほど速いものの、
最も重要な急降下性能は角度50度での降下が精一杯でした。
また、自らテストを行った第1次世界大戦のエース、エルンスト・ウーデットの操縦によって、
He118は高度4,000mからの急降下を開始、
やがてプロペラが過回転し減速ギアもろとも吹っ飛び墜落してしまいました。
ウーデットはパラシュートで脱出し無事でしたが、
これによりJu87の採用が自動的に決まり、
空軍省はユンカース社に先行量産型10機の発注をしました。
これは、Ju87A-0と呼ばれ最終試作機V4を基にしていますが、
少し出力の向上したエンジン(Jumo210Ca)に換装、主翼平面形も大きく変更されました。
以後、A-1、A-2とAシリーズが生産されましたが、
離昇出力700hpに満たないエンジンでは馬力不足は明らかで、
高出力のエンジンが待ち望まれました。
1938年にようやく実用化したJumo211A(離昇出力1,000hp)を搭載した機体でテストを重ね、
先行量産型Ju87B-0が生産されました。
Aシリーズと同じ部分は主翼と水平尾翼だけで、他は全て再設計されました。
Bシリーズは、Ju87B-0に続いて、Jumo211Aに直接燃料噴射装置を付けた
Jumo211Daエンジン搭載の最初の量産型B-1、推力式排気管、
油圧操作式のラジエターシャッターが付けられ、
幅の広いプロペラになった細部改良型B-2が生産されました。
Ju87の名称のようになってしまったスツーカ(Stuka)は
もともとドイツ語の急降下爆撃機(Sturzkampfflugzeug)の略称です。
《データ》
乗員:2名
全幅:13.80m
全長:11.10m
全高:3.96m
全備重量:4,250kg
エンジン:Jumo211Da
離昇出力:1,200hp
最大速度:383km/h(高度3,700m)
武装:7.92mm機銃×3
爆弾:500kg×1又は250kg×1+50kg×4
初飛行:1935年9月17日(原型機 Ju87V1)