発生から7日と13時間経過
最大の問題であった霧の拡大は「冷蔵庫」の大量設置によりほぼ抑えられていた。
また、霧内部へのUAVの偵察投入もある程度安定的に運用できるようになっていた。
徐々に最低限の秩序が回復し始めた矢先、霧の内部から大きな動く影が確認された。
霧から出てきたそれは全高3メートル近くの異形の物体だった。
まるでヒトのように徘徊する「それ」は、さほど素早い訳ではないが、
人間に対しては明らかに反応が違っていた。
最初は霧の境界付近で周囲を伺うような素振りもあったが、偶然意図せず
接近遭遇した兵士に対しては封鎖線を越えてまで執拗な追跡を始めたために
現場は大混乱に陥った。
困惑している現場指揮官に対し状況をリアルタイムでモニターしていたGRU6課は
即座に発砲を許可、しかし既に混乱した状況のために同士討ちを恐れて発砲できない。
そのためGRU6課はゴートUGVの使用を指示。
現地指揮官は戸惑いながらも近場にいるゴートUGV2台を混乱の中心地に差し向けた。
ゴートUGVはこれまでこのような状況で使われたことはなかったが、
しかし最初の現場に到着した173号機(非武装)のAIは速やかに「巨人を認識」し、
そのまま自律制御の状態で制圧用対人格闘を開始した。
程なくしてもう一台の速射砲装備の武装ゴート068号機が到着、
173号機に押さえ込まれた「それ」は速射砲で大半を破壊する形で制圧された。
予想もしていなかった事態に混乱するその場所に、霧の中からもうひとつの
物体が出現したことを設置したセンサーが告げていた。
to be continued